
あなたは、タイ語でちゃんと挨拶ができますか?
―はい。私は、できません。
タイ語の挨拶といえば、合掌をしたサワーディーカ(カップ)を思い浮かべる人が多いだろう。
しかし現実のタイ社会では、実はあまりメジャーな挨拶ではないと考えている。
なぜならタイの挨拶と言われているサワディーは、
1931年にタイで初めて始まったラジオ番組で、
終わり方に困ったパーソナリティーが、苦し紛れに「開発」したものなのだ。
その後、女子学生の間で流行し、現在の地位を得たという歴史を鑑みても、
スラングの発生の仕方と同じである。
浅~い歴史なのである。
今や日系、その他外資系企業の参入、その他諸々の影響で、
ニューヨークの次くらいに人種のるつぼとなっている、かもしれないバンコク。
勤め人のタイ人の中で「サワディーカ」は浸透しているような節もあるが、
企業によっては、サワディーカと言うように半強制しているような節もあって、
何とも納得がいかない。
そもそも挨拶する文化がないのに、「挨拶するのが常識」みたいな観念の元、
外来の文化を押し付けているようにも受け取れるからだ。
タイに挨拶という文化はそもそもなく、
顔の知れた者同士で、声を掛け合って気遣うのがタイだと思う。
挨拶と定義するのもはばかれるが、タイ語の正しい挨拶(たわむれ)を紹介しておきたい。
パイナイマー(ไปไหนมา)
どこ行ってきたの?
ギンカウルーヤン(กินข้าวหรือยัง)
ごはん食べた?
これらはあくまで「たわむれ」であって、
これを言われたからと言って、真面目に回答する必要はないし、
そもそも相手が返答を聞いていない場合が多い。
近所の人と、お互いバイタクに乗った状態で「パイナイマー」と聞かれても、
お互い時速20kmぐらいのスピードで擦れ違うから回答するのは物理的に不可能だし、
「ギンカウルーヤン?」と聞かれ、
「どこどこにあるお店で何を食べてきた、本当においしかった。」
などど真面目腐って答えても、誰も聞いていないので、
安心して「ギンレウカー(もう食べました)」、
もしくは「ヤンカー(まだです)」と答えて頂いて全く問題ない。
そのような顛末は、僕も経験していて、
タイ移住後の家出ハウス生活の中で、
タイ語、タイ文化のあれこれを色々経験させてもらった。
タイの歌姫タイ・オラタイの名曲にもあるギンカウルーヤン。
タイでは、かしこまった挨拶ではなく、たわむれを楽しんでほしい。